【ワルシャワ時事】バイデン米大統領は20日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を予告なしに訪問し、ゼレンスキー大統領と会談した。昨年2月のロシアによる侵攻後、バイデン氏のウクライナ入りは初めて。24日で侵攻1年を迎えるのを前に、ウクライナを支援し続ける決意を改めて表明した。
バイデン氏は19日未明に米国を出発し、ウクライナ時間20日午前8時(日本時間同午後3時)ごろキーウに到着。その後、出迎えたゼレンスキー夫妻と握手を交わし、首脳会談に臨んだ。バイデン氏は数時間でキーウ滞在を終えて出発した。
バイデン氏は会談などで「米国の揺るぎない支持」を示すためにウクライナへ来たと強調。「(侵攻から)1年を経て、キーウ、ウクライナは持ちこたえ、民主主義は持ちこたえた」とウクライナの抵抗をたたえ、5億ドル(約670億円)規模の追加支援を行う方針を明らかにした。
バイデン氏はまた、「ロシアの狙いはウクライナを地図から消し去ることだった。プーチン(ロシア大統領)の征服戦争は失敗している」と指摘。「彼(プーチン氏)は間違っていた。証拠はまさにこの部屋にある。われわれは共に立っている」と述べ、ウクライナを必要な限り支え続けていくと表明した。
一方、ゼレンスキー氏は「ウクライナと米国の関係で最も重要な訪問となった」と謝意を伝えた。また、通信アプリ「テレグラム」にバイデン氏と握手する写真を投稿し、訪問は「すべてのウクライナ人への非常に重要な支援の証しだ」と歓迎した。会談後にはツイッターで「(訪問は)歴史的、時宜を得て勇敢だ。ウクライナの勝利のため共闘する決意だ」と記した。
ロシアの侵攻1年を控え、ホワイトハウスはバイデン氏が20~22日の日程でポーランドを訪問すると公表。戦時下の安全上の理由などを考慮し、ウクライナ訪問は発表しなかったが、米高官は20日、ロシア側には訪問を事前通告していたと記者団に明らかにした。