1993年の日本ダービーを制したウイニングチケットが18日、33歳で死んだ。人間で言えばおよそ100歳の大往生。生存していた中央競馬のG1馬で最年長だった。最近はゲーム「ウマ娘」のキャラクターにもなっており、多くの競馬ファンに愛された1頭だった。
93年の牡馬クラシック戦線で、ビワハヤヒデ、ナリタタイシンと繰り広げた3強対決は競馬史に刻まれた名勝負と言える。3頭が皐月賞、ダービー、菊花賞で1~3番人気を独占したのみならず、三冠をきれいに分け合い、頭文字から「BWN」などと称された。鞍上も柴田政人、岡部幸雄、武豊と日本を代表する騎手を配し、その駆け引きも熱かった。しかも柴田騎手は悲願のダービー初制覇で物語性も十分だった。
ウイニングチケットは2005年から浦河町のうらかわ優駿ビレッジAERUで余生を過ごした。記者も一度訪ねたことがあるが、既に結構な高齢馬だったにもかかわらず、ピカピカに黒光りした筋骨隆々の馬体はさすが名馬。しかもほぼゼロ距離で見ることができて感激した。晩年にはたてがみを切り取られる残念な事件も起きたが、老後も変わらずファンを魅了し、見るだけで元気をくれる存在だった。冥福を祈る。(金)