宇宙航空研究開発機構(JAXA)は17日午前10時37分、新型ロケット「H3」試験機1号機を初めて打ち上げる予定だったが、固体補助ロケット(SRB)に着火せず、打ち上がらなかった。JAXAの岡田匡史・H3プロジェクトマネジャーは同日午後、記者会見し、「ロケット1段目の制御用機器が異常を検知し、SRBの着火信号を送らなかったので打ち上げを中止した」と述べた。
ロケット本体や搭載した衛星に損傷などはないといい、JAXAは原因究明を進めた上で、今年度内の再打ち上げを目指す。
H3・1号機は1段目の液体燃料エンジン(主エンジン)に加え、SRB2本を装備している。17日午前の打ち上げでは、予定時刻の約6秒前に主エンジンに着火したが、その後SRBには着火せず、機体は発射台にとどまったままだった。
主エンジンと異なり、SRBは一度着火すると止められないため、制御用機器が着火前に1段目機体のさまざまな機器をチェックする。岡田氏によると、制御用機器が何らかの異常を検知するなどした可能性が高いという。
岡田氏は「主エンジンは正常に立ち上がっており、異常を検知して止める機能は正常に働いた」と強調。「できるだけ早く原因を究明して、改めて打ち上げに臨みたい」と話した。
JAXAは18日午前中にも、発射地点にある機体を整備棟に戻し、原因究明作業を進める方針。
H3は、2001年に運用を開始したH2Aの後継となる2段式の基幹ロケットで、第1段には新型の液体燃料エンジンを導入。14年の開発開始当初からJAXAのほか、三菱重工業など民間企業が参画し、商業衛星打ち上げ市場での競争力向上を主眼に据えていた。