2025年大阪・関西万博での実用化を目指す次世代型の移動手段「空飛ぶクルマ」が17日、大分市の田ノ浦ビーチ上空を飛んだ。国土交通省の許可を受けた屋外での有人飛行は国内で初めて。地上30メートルまで浮上し、ビーチの周辺約400メートルを3分半、自動飛行した。
機体は電動の2人乗りで、幅約5・6メートル、高さ約1・7メートル、重量430キロ。空飛ぶクルマを一目見ようと約400人が集まり、「意外と音がしない」などの感想が聞かれた。
今回の試験飛行は、航空・自動車関連企業などでつくる一般社団法人「MASC(マスク)」(岡山県倉敷市)が実施。搭乗した桐野宏司理事長は「ホバリング時に少し振動があるくらいで、揺れもなく心地良い。乗り心地は自動車と同じだ」と話し、「人が乗ったことで、安心して搭乗できることが実証できた」と喜んだ。
大分市の佐藤樹一郎市長は「技術的には十分実用可能域に達しているのでは」と話し、「25年を目指し、大分でも実用化に向けさらに取り組みたい」と強調。大分空港と市街地の間の新たな移動手段としての可能性に期待をにじませた。
空飛ぶクルマは、大阪・関西万博で会場と複数の離着陸場を結ぶ商用運航を目指し、運航事業者の選定作業を進めている。