羽根標本を展示 救命に至らなかった鳥たちに学ぶ

  • 救護室のカルテ, 特集
  • 2023年2月17日
展示をはじめた羽根標本

 

 このたび、ウトナイ湖野生鳥獣保護センターに羽根標本を展示することとなりました。羽根標本とは、鳥類の羽根に適切な処理を施し、長期保存を可能とした標本です。

 当センターでは毎年多くの傷病鳥が搬入されますが、その半数近くの鳥類は残念ながら救命に至りません。そういった個体は死因究明のために解剖することもあれば、調査研究や剥製標本作製等のために、冷凍保管をすることもあります。今回は、過去に死亡し冷凍保管していた5種(ゴジュウカラ・ハシブトガラ・メジロ・センダイムシクイ・キクイタダキ)の羽根標本を作製しました。

 作製は当センターのボランティアさんたち4人と行いました。また作製に当たり、やはり当センターのボランティアさんでもあり、ご自身も生物の教諭として高校で教壇に立ちながら、さまざまな種類の標本を手掛けられている吉沼利晃さんに指導いただきました。

 標本作製は2日間にわたり行われました。1日目は個体から羽根を抜く作業。図鑑を参考にしながら、風切り羽や尾羽など部位ごとに羽根を抜き、またそれぞれの部位で枚数も異なるため、混同しないように羽軸(羽根の付け根)に番号を書いたラベルを貼りました。今回の個体はいずれも小鳥類だったため羽根も小さく、息が当たるだけでも飛んでしまいます。皆さん慎重に作業を進められていました。

 そして2日目はいよいよ羽根を台紙に貼り付け。これもシンプルなようで意外にも神経を使う作業で、羽根の向きを整えながら、さらに全体のバランスも取りながら接着剤で固定。個体によっては換羽中で短かったり変形したりした羽根もあり、苦労されている場面もありましたが、無事に完成し、このたび展示となりました。

 標本として新たに命を宿した鳥たちの羽根。本来だったら、死んだ生きものは、自然界の中で時間を経て分解され、生態系の中で循環するものですが、こうして私たちに学びを提供してくれることは大変貴重で、ありがたさを感じます。鳥特有の羽根のつくりの魅力はもちろんですが、一枚一枚から伝わる、自然界で生き抜いてきた証しが、標本には詰まっています。皆さまも、当センターへお越しの際は、ご覧いただけたらと思います。

 (ウトナイ湖野生鳥獣保護センター・山田智子獣医師)

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