安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、奈良県警は13日、無職山上徹也被告(42)=殺人と銃刀法違反罪で起訴=について、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連施設が入る建物に弾丸を発射したとする建造物損壊や銃刀法違反、無許可で銃を製造したとする武器等製造法違反など五つの容疑で追送検した。県警は認否を明らかにしていない。
奈良地検が今後、追起訴するかどうか判断する。首相経験者が殺害された戦後例のない事件の捜査は、発生から7カ月余りを経て終結する見通し。
追送検容疑は、昨年7月7日午前4時ごろ、旧統一教会の関連施設が入居していた奈良市内の建物に向け、金属製弾丸を発射し外壁などを損壊したほか、自宅で銃6丁を製造し所持した疑い。
このほか県警は、自宅やガレージで火薬を製造し所持したとする火薬類取締法違反▽奈良県内の山中で銃と適合する弾丸、火薬を所持し、銃を発射したとする同法と銃刀法違反▽選挙の自由を妨害したとする公選法違反の容疑でも追送検した。
山上被告はこれまでの調べに、「旧統一教会関連施設に向けて手製銃の試し撃ちをした」と供述。県警が山上被告の自宅から押収した銃6丁について発射実験などを行った結果、殺傷能力があったことが確認された。
安枝亮・県警本部長は「安倍元首相のご冥福を心よりお祈り申し上げる。このような事態を発生させたことは痛恨の極みであり、引き続き、全職員が一丸となって信頼回復に努める」とのコメントを発表した。
山上被告は昨年7月8日午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅前の路上で、参院選の応援演説をしていた安倍氏に向けて至近距離から手製銃を2回発射。左上腕などに命中させ殺害したとして、今年1月13日に起訴された。