苫小牧市中学生主張発表大会(13) 努力賞 「全ての生物がもつ命」 苫小牧植苗中2年 齋藤 美優さ  ん

  • 特集, 苫小牧市中学生主張発表大会
  • 2023年2月8日

  世の中には、様々な環境で生きている犬や猫がいる。飼い主の元で幸せに暮らしていたり、愛護団体に保護されていたり、多くは幸せに暮らしている。一方、保健所に入れられ、収容期間を過ぎると殺処分される動物もいる。

   私は、けがをしていた野良猫を保護したことがある。他の動物から攻撃されることを心配したのだ。あの時保護していなければ、小さな命がなくなっていたかもしれない。当時とは反対に、今は安心でとても幸せそうに見える。そんな姿を見ていると、一つの命を救えたような気がしてうれしくなる。私はこの世界に、殺処分は必要ないと感じている。だから犬や猫など、ペットとして飼われる動物の殺処分を無くす取り組みを大きく二つ考えた。

   一つ目は、捨てられた、迷子になってしまったなど、行き場を失った動物を受け入れて新たな飼い主に引き渡す施設を増やしてほしい。実際にドイツには、年間15万頭の動物が収容されている保護施設がある。驚くことに、その9割が新たな飼い主に譲渡されているそうだ。この施設の方針に、「殺処分してはならない」ことが定められている。新たな飼い主と幸せな時間を過ごすことは、互いに喜びを感じることにつながると思う。生きていて、大事に思い合える関係をつくることは、私は必要なことだと感じる。もちろん、実現には多額のお金が必要になる。可能な範囲で町や企業からの補助金を集めたり、賛同する方々からの支援金を集めたりすることを、この場でも提案したい。企業のCSRにつなげていただけるようなら、なおさら状況を改善しやすくなる。動物と人間が、共に幸せに暮らす環境をつくる必要性は大きいと感じている。

   二つ目は飼い主としてのマナーを、しっかり学ぶ機会を増やすことだ。誰もが立ち寄りやすいペットショップなどで、ペットを購入する前に動物の一生を考えて、適切に育てることができるのか金銭面や環境面の不安がないのか、見つめさせる機会があれば大変ありがたい。店先で、かわいさのあまり、丁寧に飼育できるかどうかを検討せずに購入してしまうことを減らすことが必要だ。また、販売や実験のための繁殖活動が盛んなこと、これにより売れ残りが生じれば殺処分せざるを得ない状況となっているのを見直すきっかけになるはずだ。現実として、殺処分の主な原因が、身勝手な理由で動物を捨てる人が少なくはないからだ。率先して取り組んでくれる企業があれば、人間が命の大切さを改めて実感する機会を提供する貴重な存在となる。クラウドファンディングなどでの支援が可能なものがないか、探してみようと思う。

   私は普段から、自分の家や親戚の家の猫や犬と触れ合ってきた。優しい気持ちや励ましをもらうことがあった。よそにいる同じ動物が、殺処分に怯えることはあってはならないと強く願っている。体が大きくても小さくても、健康でも病気でも、どんな生物にも命がある。大切な大切な命を簡単に奪わないでほしい。殺処分がゼロになり、人間も動物も幸せに包まれる世界をつくっていきたいと強く願い、身近なところから状況を変えていこうと決意している。

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