【北京時事】在日中国大使館は29日、日本人向けの一般ビザの発給を同日から再開すると発表した。水際対策を強化した日本への対抗措置として、10日から一時停止していた。再開の理由は明らかにしていないが、厳格な「ゼロコロナ」政策で落ち込んだ国内経済の回復に向け、ビジネス関係者らの往来を早期に正常化させる狙いがあるとみられる。
また、中国国家移民管理局も、第三国への乗り継ぎに際し、一定期間のビザなし滞在を許可する制度を29日から再開すると発表した。同制度は11日から停止していた。
中国は昨年12月、ゼロコロナ政策の破綻に伴い爆発的な感染拡大に見舞われた。自国内での感染拡大を懸念する日本などは、中国からの渡航者の検査条件を厳格化。中国側は「差別的」だと反発し、ビザ発給停止に踏み切った。
日本政府は外交ルートを通じて抗議し、撤回を要求。中国人に対するビザの発給制限までは行っていないことから「相互主義とは違う」(外務省幹部)などと指摘していた。
ただ、中国が停止を発表した後も商用などを対象に一部でビザ発給が認められるケースも出ていた。低迷する経済の回復を急ぎたい思惑から、二面的な対応を余儀なくされていたもようだ。
一方、同様に水際対策強化への報復としてビザ発給を停止した韓国については、再開を発表していない。韓国は短期ビザの発行を制限するなど、より強い対策を取っている。
中国は今月8日、入国時の隔離措置を完全に撤廃。帰国時の行動制限がなくなったことで、21~27日の春節(旧正月)連休中の出国者数は延べ約144万人となり、昨年に比べ約2倍に増えた。新型コロナ禍で制限していた外国への団体旅行も2月6日から解禁するが、渡航可能な対象20カ国に日本や韓国は含まれていない。