―昨年を振り返って。
「売り上げは2021年より落ち込み、やや厳しい年だった。一方で、デジタル技術でゴルフプレーをサポートする当社開発の『ゴルフカートシステム』が累積で全国ゴルフ場100コースへの販売が達成でき、大きな自信につながった。また、昨今の労働関係の規制に合わせた自治体向け庶務管理システムの受注も好調。昨年は4自治体が導入し、計14カ所で利用されており、今年も積極的に拡販を目指す。受注規模が大きいのは、道内の航空関連企業の人事情報システム。複数社による激しい競争の末に固い牙城を崩せた。全体的には『人』がキーワードとなる製品が注目されていると感じる。人材育成や労働管理などが重視されているのではないか」
―地域BWA(広帯域移動無線アクセス)システム事業の進展は。
デジタル利用のまちづくりを推進する地域BWAの整備は3年がかりの計画で、23年度が最終年。24年3月には苫小牧のほぼ全域が地域BWAネットワークで網羅される。2年目だった昨年も計画通りに進み、現在はフェリーターミナル周辺を整備している。システムは自治体だけでなく、住民や民間企業も使える仕組みにする。価格も他に比べて格安で提供できる。独自のサービスを展開することも検討中で、利用のメリットを提示していきたい」
―業界の現状と課題は。
「25年から全自治体が共通の基盤・機能を持つクラウドサービスを使う『ガバメントクラウド』が始まる。われわれのような地方のIT企業は、他の大きなメーカのシステムを利用することになり、今後はやり方が相当変わる。データセンターも含めて、大手に真っ向から戦うのでなく、上手く利用していくことが、地方IT企業の生き残りの道だと思う。また、さまざまな部門にデジタル技術を浸透させるDX(デジタルトランスフォーメーション)に、道内企業はまだ追い付いていない状況にある。IT業界としてはコンサルタント的な支援が重要になる。当社としては経産省認定のDX認定の取得を目指し、お客さまのDX導入をサポートしていく考えだ」
―今年の展望は。
「23年度は中期経営3カ年計画の初年度となる。まずは次世代に向けた重点ビジネスを開拓する。当社が進める地域BWAシステムのネットワーク網を活用していきたい。苫小牧市の『スマートシティ構想』にも、BWAを使ったアプリやサービスを提案していくつもりだ。次は自社ブランド商品の販売網強化や、連携企業と共同での開発、販売の取り組みだ。各社とも開発費や販売網を共通の悩みとしており、連携実現の見通しは立っている。社員の労働環境も見直し、ライフワークバランスを実現したい。働きやすい環境づくりに向け、住宅街に近い場所にサテライトオフィスの建設も検討している」
メモ 1970年に設立。データセンターの運営や自治体向けのシステムを販売。小規模図書館向けの支援システム「お気軽図書館」は1200以上の団体に導入されている。