「ワークショップ」という言葉には幾つかの使い方がありますが、私が取り組んでいるアートワークショップは「体験講座」と言うと一番分かりやすいかもしれません。
子どもを対象にすることが多いのですが、親子で一緒に取り組むこともあれば、大人だけを対象にする場合もあります。体験する内容は、立体を造形する、絵を描く、文章を作る、観察する、考える、話し合うなど、成果物ができるものから形にならない体験までさまざまです。
しかし、どの体験にも考える・決める・実行するという要素が含まれており、それぞれの範囲を幅広く捉えられるよう設計しています。そのためには準備し過ぎないこと、こちらの答えを決めないこと、体験中に指導しないことに気を付けなければいけません。一口で言うと、何もしないことが正解のように聞こえてしまいますが、その設計と修正には当日を迎えるまでに長い時間をかけています。
このような答えのないワークショップを通して、アートの楽しさを伝えるその先に、自分の力で考え、答えを決め、実行できる人になってほしいという願いを込めています。
先日はJR札幌駅でワークショップをする機会がありました。その時は、小学校の頃から私のワークショップに参加し、今では学生になった子どもたちがスタッフとして駆け付け、参加した児童たちを一緒に見守ってくれました。
少し未来のことと思っていましたが、現在と重なりつつあることを感じ、うれしくなりました。
(彫刻家・苫小牧)