第72回全国高校アイスホッケー競技選手権大会は24日午前、釧路アイスアリーナで決勝が行われ、駒大苫小牧は2―0で武修館を下し2年連続33度目の優勝を果たした。
▽決勝
駒大苫小牧2―0武 修 館
23日
▽準決勝
駒大苫小牧4―2白樺学園
▽得点者【駒】大久保(寺内、鈴木)石田(城野、早坂)鈴木(相馬、早坂)三浦(寺内、大久保)【白】金子(岸本、西浦)小岩(高田、西浦)▽GK【駒】工藤【白】大澤
武 修 館2―1埼 玉 栄
▽3回戦
埼 玉 栄13―0東 北
武 修 館4―1釧路江南
―釧路江南・FW小林、意地の1発
釧路の古豪江南が、23日3回戦の武修館との同郷対決で意地を見せた。3点を追う第3ピリオドに反撃の1発を決めたのは苫小牧和光中出のFW小林(3年)。鋭いミドルシュートをゴール右隅に決め「力を振り絞って打った。とにかく入れという気持ちだった」と胸を張った。
11人と少数精鋭ながら3大会ぶりの8強入り。7人いる3年生中心に「信頼し合いながら、誰かに頼り切ることなくプレーした結果」と小林は言う。
江南は1992年の第41回大会から5大会連続で決勝進出。93年の第42回大会では、当時3連覇中の駒大苫を決勝で破り日本一に輝いた強豪公立校だった。
多数の日本リーグ選手も輩出。近年ではアジアリーグのレッドイーグルス北海道DF青山、東北フリーブレイズのFW生江がいる。一方で年々部員数は減り、今回は2年生以下がわずか4人と新年度以降の単独出場も危うい状況だ。
同校OBで、日本リーグのコクドで14季プレーした菊池監督は「競技者自体の減少もあり、特に選手集めができない公立校は厳しい」と嘆く。それでも「選手たち自身でも考え、工夫しながら粘り強く戦えるのが江南の良さであり伝統」とし、4月の1年生入部を期待しながら「江南を選んで入ってくれた生徒を強くしていきたい」と前を向いた。
―白樺学園 苫小牧出身岸本、最後まで奮闘
準決勝で駒大苫に惜しくも敗れ3位となった白樺。主将を担ったのは苫小牧青翔中出身のFW岸本(3年)だ。
23日は3回戦、準決勝の2試合をこなすハードな1日。3回戦で清水をゲームウイニングショットの末下すと、続く駒大苫戦でも一時勝ち越すなど「しっかり足を動かしてゴールに向かうことができた」と言う。
ただ、第3ピリオド中盤に得た数的優位なパワープレーの好機を逃すと、たまっていた疲れが一気に出た。13分すぎに連続失点し、3年ぶりの王座奪還の夢はついえた。
試合後、涙にくれる岸本に駆け寄ったのは駒大苫のFW石田主将(3年)とDF千﨑(同)。中学時代に王子ジュニアで知り合い、親交を深めた間柄に「俺らが優勝してくるから泣くな」とねぎらわれた。
返した言葉は「ありがとう。優勝は譲る」。岸本は「仲のいいライバルと最後に試合ができて幸せだった」。
白樺の歴代主将には北米アイスホッケーリーグ(NHL)下部で奮闘する平野、アジアリーグ・レッドイーグルス北海道の小林ら苫小牧ゆかりの実力者が多い。「同じC(キャプテン)マークを着けてプレーできたことを誇りに思う」とすがすがしい表情でリンクを後にした。