経団連の十倉雅和会長と連合の芳野友子会長が23日、東京都内で会談し、2023年春闘が事実上スタートした。歴史的な物価上昇ペースに賃金の伸びが追い付かない状況が続き、賃上げの必要性では労使の認識が一致。十倉氏は同日の記者会見で「今回は特にその思いが両者とも強い」と踏み込んだ。ただ、水準や手法を巡っては温度差があり、基本給を底上げするベースアップ(ベア)がどの程度実現するかが攻防の焦点となる。
会談の冒頭、十倉氏は「賃金と物価の好循環を実現する必要がある」と表明。その上で、「物価動向を特に重視しながら、企業の社会的責務として、賃金引き上げへ積極的な対応を(会員企業に)呼び掛ける」と強調した。ただ、経団連はその手法について、ベア以外に定期昇給(定昇)やインフレ手当、ボーナス加算などの中から各社の実情に応じて判断すべきだとの姿勢を示している。
これに対し、連合はベアによる賃上げを優先するよう主張する。ベアの要求水準を3%程度と前年より1%引
き上げ、定昇と合わせて5%程度の賃上げを目指す。芳野氏は会談で十倉氏に対し、「労使が力を合わせ、日本の未来をつくりかえるターニングポイントとすべきだ」と訴えた。
連合の5%要求について、十倉氏は記者会見で「理解はできるが、できない企業もあるし、上回って達成できる企業もある」と指摘。賃上げの水準は業績に応じて決まるべきだとの見解を示した。
経団連は24日に「労使フォーラム」を開催。3月15日の集中回答日に向け、労使交渉が本格化する。