「大切なもの」。この言葉を聞いて、みなさんはどんなものを大切にしたいと思いますか。それは形あるものやないものと様々でしょう。私は、心の奥に秘めた言葉や感謝の言葉、そばにいてくれる人がそれに当たると思います。
「大切なもの」という合唱曲の「大切なものに気づけない僕がいた」という歌詞が私はとても印象に残っています。そう、私もなかなか大切なものに気づくことができませんでした。しかし、冷静になって自分を見つめるとそれが見えてきました。
私は感情のコントロールがあまり得意な方ではありません。そのため、ものにひどくあたってしまったり、ひどいときには友達をも不快にさせてしまうような態度をとったりしてしまいます。母に「ものを大事にしなさい」と言われ、育てられたにも関わらず、大切なものや大切な人を大切にできない自分。私はそんな自分を変えたいと思い、友達に謝りました。謝罪の言葉を遅れてでも言えば、相手も許してくれました。私は傷つけた相手に素直に謝ることが大切だと実感しました。
また、私は小さい頃からずっと水泳を習っています。私は引退試合など特別な日には必ず水泳仲間に、感謝の気持ちを伝えるようにしています。そうすることで、相手も自分もとても幸せな気持ちになれます。私は周りの人に素直な心で接することが「自分の大切な人を大切にする」ということなのだと思います。
自分を見つめると、ふと思ったことがあります。「なんで今まで水泳を続けてこられたのだろう」と。振り返るとすぐにやめたいと弱音を吐いてしまう私ですが、コーチのご指導や仲間・ライバルがいたから続けてこられました。
しかし、それでもやっぱりつらいときはあります。そんなとき、励まして支えてくれたのは父や母でした。この数年、大会を観覧することはできませんが、それまでは毎回家族が大会を見に来てくれました。私にとってこんなに心強いことはありません。タイムが更新されたときは一緒に喜び、そうでなくてもアドバイスをくれたり、相談にのってくれたりしました。それなのに、そんな父や母には、普段そんなに感謝の気持ちを伝えられません。身近すぎてなかなか素直になれないのです。
水泳でつらいとき、励ましてくれた父の言葉があります。「周りの人ではなくて、前の自分に勝てたらいいんだよ」。初めは素直に受け取ることができませんでしたが、今は私にとって大事な言葉です。ここまで私を支えてくれた父や母にいつか感謝を伝えることができたらいいなと思います。そう、素直な心で。
私は身近にいる人、つまり大切な人たちへの感謝を素直に伝えることが大切だと考えます。誰にでも心の奥に大切にしているものや言葉があるはずです。ですから、それを踏みにじることは誰にも許されません。自分が置かれている環境に目を向け、「大切なもの」を大切にする。その素直な心を大事に、いつまでも持ち続けていきたいです。