5 地域全体で福祉支援 尾野(おの)瀬里奈(せりな)さん(34) 市社協勤務 困窮者に寄り添う コミュニティー・ ソーシャル・ワーカー

  • まちを見詰めて~苫小牧市制施行75年, 特集
  • 2023年1月19日
「苫小牧は福祉サービスを受けられる組織や窓口が充実している」と尾野さん

 「苫小牧は住民が福祉的な支援を受けられる地域資源が豊富」

 社会福祉協議会の職員として道内外のまちを見てきて、そう実感している。

 留萌管内羽幌町で生まれ、子どもの頃は親の転勤で道内を転々とし、高校時代には厚真町から駒大苫小牧高校に通った。仙台市の東北福祉大学を卒業後、2011年に同市の社協に就職。その後、宮城県利府町や札幌の社協勤務も経験した。21年4月からは苫小牧市社協で生きづらさに悩む市民一人ひとりに目を向け、解決策を探る地域福祉のコーディネーター「CSW(コミュニティー・ソーシャル・ワーカー)」として働く。

 苫小牧で働き始めて間もない頃に出向いた、独り暮らしの80代女性宅の光景が忘れられない。水道管が破裂したごみ屋敷。和室では蛍光灯の傘の高さくらいまで衣類が積み重なり、女性はその上に寝ていた。部屋にはハエが舞い、生活は完全に破綻していた。

 近所付き合いを拒み、地域から孤立してしまった女性。自分の生活圏にこんな家が存在していたことに驚きつつ、苫小牧にも困っていても助けを求めることができない人が身近にいることを知った。

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 その後も不登校や引きこもりの当事者・家族、ネグレクト(育児放棄)状態の家庭、親の介護や育児に疲れてゆとりを失った人など多数の悩む市民に寄り添い、市や地域包括支援センターなどの専門機関に橋渡しする中、苫小牧はこうした困窮者が少なくない一方、人口規模に対して福祉サービスや相談窓口が充実していることにも気付いた。以前勤務したもっと小さなまちではマンパワーが限られていたし、札幌や仙台のような大都市では各地域の人口が大きいため、成功事例を全体に波及させることが難しかったという。

 福祉の問題を人ごとと捉えず積極的に関わろうとする個人や企業も多く、さまざまな困り事にまち全体で取り組める土壌があると見ている。

 昨年9月、市社協として生活困窮や引きこもり、就労に悩む若者と家族向けの居場所づくり事業「コミュニティカフェ~igocoti(いごこち)~」を始める際も、市内大町の飲食店に月1回だけ、会場として店を開放してもらえないかとお願いすると、「貸すよ」と二つ返事でOKをもらえた。

 ただ、どんなに相談窓口やサポート制度が充実していてもそこにたどり着けなければ支援として成立しない。福祉ニーズが複雑、多様化する中、誰もが安心して暮らせるまちづくりへ、どこで情報をキャッチしても必要な支援が行き届くよう地域住民や関連機関と顔の見える関係を大切にしていきたいと思っている。

 (陣内旭)

 終わり

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