―昨年を振り返って。
「昨年6月に4速AT(自動変速機)『U340』、CVT(無段変速機)『K310』の1次ラインがシャットダウンしたのは、電動化の流れの中で一つの節目。半導体不足の影響で減産調整を強いられた一年でもあった。ハイブリッドトランスアクスルやCVT、トランスファーなどの生産台数は昨年、約184万台で前年比約6%減。電気やガス、油などエネルギー費高騰も大きな影響を受けた」
「ただ、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、日本全体で経済的に復活しつつあり、半導体も少しずつ戻ってくると思う。車両としてタイムリーにお届けできず、残念でお客さまに申し訳ない気持ちだが、需要はあるので今年は生産台数を確保していきたい」
―今年の展望は。
「シャットダウンの2ライン分が空くので次の部品、特に電動化部品を獲得し、造れるよう取り組む。駆動系部品会社はみんな厳しく、『競争力があるからどうぞ』とはならない。すぐに100%EV(電気自動車)でインフラはそろわず、段階を踏んで進めることになるが、しっかりアピールしながら対応を早めていく」
「これまでの延長線上では世界ナンバーワンの競争力は得られない。ものづくり力、TPS(トヨタ生産方式)、原価低減力などを磨き上げる大前提で、新たな課題のカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出ゼロ、CN)に取り組み、新しい価値につなげ、DX(デジタルトランスフォーメーション)を進める」
―2021年4月にアドバンスドBCD企画推進室を発足し、ビジネスクリエーションの「B」、CNの「C」、DXの「D」を進めてきた。成果は。
「200社以上の食品加工や小売り、1次産業など異業種の方と話す機会ができた。弊社のものづくり力を活用し、作業環境改善のお手伝いで結果が出た部分もある。交流する中で信頼関係が生まれ、結果に結び付いていくこともある。地域の企業に貢献し、地域と共に発展する会社を目指す。お役に立てることがあるとうれしい」
「トヨタ自動車の目標、35年CNに向けて、まずは省エネを徹底する。昨年1月からESCO(エスコ)チームをつくり、『みんなの省エネ』を合言葉に、エネルギーや無駄の見える化を進めている。再生可能エネルギーや水素など新エネの利活用は、道や苫小牧市などと検討を進めている。(カーボンプライシングなどを必要としない)『真水』のCNで部品を造る工場になれば、『ここで部品を造らせよう』となる」
「DXは一人も落ちこぼれることなく、レベルアップしていけるよう、人材をしっかり育成していく。全従業員を対象にDX概論などのDX教育を進め、デジタル化が可能な業務を洗い出して改善している。1月からアドバンスドBCD企画推進室を改め、新たにアドバンスドBC企画推進室、DX企画推進室を新編した。これまでの取り組みや活動をより深化させる」
メモ
道内ものづくり企業最大手の自動車部品製造業。従業員数は1日現在、市内企業で最多の3499人で、過去最高規模を維持している。