苫小牧市中学生主張発表大会(3) 優秀賞 「やる気があれば」 光洋中学校2年 綿貫 里咲さん

  • 特集, 苫小牧市中学生主張発表大会
  • 2023年1月13日

  私の学校では、生徒会役員を決めるときに、選挙を行っています。

   立候補しなければ、役員になることはできません。生徒会活動には興味があるけれど、立候補する勇気がない。実はそんな人は、意外に多いのではないでしょうか?

   私は今、生徒会長をしていますが、本当の私はとても人見知りです。周りの人の応援があって、なんとか乗り切りましたが、選挙期間中はずっと、プレッシャーと戦っていました。

   立会演説会を終え、選挙結果が出されるのを、立候補者全員で待ちました。その時、「この場にいる人全員で生徒会やればいいんじゃない?」という発言がありました。生徒会活動に前向きな人の集まりなので、雰囲気が良く、話していてとても楽しかったのです。しかし、結果が発表されれば、落選する人が出てしまう。その事は、候補者全員にとって、辛い経験となりました。

   やる気があるのに、やることができない。中学校の生徒会活動において、経験する必要のあることでしょうか。やりたい事に打ち込む方が、その人にとってより価値のある経験ではありませんか?

   インターネットで調べてみると、中学校の生徒会役員を決めるときには、全国的に何らかの選挙を行っている学校が多いようです。

   そこで私の提案なのですが、生徒会役員を部活動と同じく、自由に参加できる場にするのはどうでしょうか? 役員を投票で選ぶのはやめて、人数の制限もせず、やりたい人は全員、生徒会役員に入ることができ、その中で誰がどの役をするのかを、話し合いで決めればよいのです。

   やる気のある人が関われないこともなくなり、人前で話すのが苦手な人でも入ることができます。生徒会役員になった人は、学校行事に意欲的に取り組むので、役員がたくさん居れば学校行事も盛り上がり、学校全体の雰囲気が良くなる、生徒会の会議などを通して、生徒が主体的に物事を考えられるようになるなど、たくさんのメリットが期待できます。

   「生徒会選挙は、社会に出る前に選挙制度を学ぶ大切な機会だ」という意見もあるでしょう。しかし、その学ぶべき大人たちの「選挙」はどうなっていますか? 投票率がなかなか上がらないのは、民意の反映を実感できないからではないでしょうか? それならば、意欲的に関われば自分の意見が反映される、全員が参加できるかたちのほうが、選挙よりも優れてはいませんか?

   もう一つ、この「部活動のような生徒会」には、将来の日本を変えうる要素があるのです。それは、女性のリーダーが増えるきっかけづくりです。

   生徒会役員の中では、男女比が半々くらいなのに、生徒会長だけは、女子生徒の割合が極めて少なく、11%しかいない。滋賀県大津市が行った調査で、そのような結果が出たそうです。女子の方が「目立ちたくない、失敗したくない」と考え、立候補を避ける傾向が強いこと、リーダーは男子が多いという刷り込まれた社会的慣習が一因にあるのではないかと推察されていました。

   ジェンダーによる不平等というのは根が深く、気づきにくいものです。もし「女子の生徒会長が少ない」ことと「選挙」が関係あるのであれば、選挙をやめてみればいい。会長は、話し合いでふさわしい人がなればよいのです。それが女子の会長増加につながるのなら、将来、日本が今よりもよい社会となっていくきっかけとなるのではないでしょうか。

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