2月に行われた北京冬季五輪。アイスホッケー女子日本代表(スマイルジャパン)は過去最高の6位の好成績を残した。スピードスケートの女子5000メートルでは、駒大苫小牧高出身の押切美沙紀選手(富士急)が8位に入賞し、氷都苫小牧を盛り上げた。
2014年ソチ、18年平昌に次いで3大会連続の五輪出場を果たしたスマイルジャパンは苫小牧ゆかりの17人も躍動。予選グループBの初戦で難敵のスウェーデンに3―1で勝利し、白星スタートを切った。DF小池詩織選手(道路建設ペリグリン)が日本チームの大会第1号ゴールを挙げて先制。最後まで集中力を切らさず、日本の持ち味の守りから攻撃に転じる「トランジション」の速さが光った。
2戦目のデンマーク戦では最大の課題だった得点力不足を克服する得点ラッシュで6―2と快勝。しかし、2連勝と勢いに乗って迎えた中国戦は苦戦を強いられた。互いに譲らず、ゲームウイニングショット(GWS)にもつれる激闘の末1―2で惜敗。悪い流れを修正できなかった。
予選通過を懸けたチェコ戦では2戦連続のGWS戦の末、FW久保英恵選手のゴールで3―2と勝利をつかみ、予選首位通過。史上初の決勝トーナメント進出を切り開いた。
悲願のメダル獲得に向け第一関門となる準々決勝は、強豪フィンランドに苦しんだ。五輪初出場のFW志賀紅音選手(トヨタシグナス)のゴールで1点を返したものの、必死の守備から反撃の糸口をつかめず1―7で完敗、4強入りはならなかった。
1位カナダ、2位米国、3位フィンランドで幕を閉じた北京五輪。上位国の壁の高さを痛感したが、得点力向上やパックを奪われない技術、フィジカルなど課題としていた面で一定の成果を得た大会でもあった。
大会後には3大会連続で主将を務めたFW大澤ちほ選手をはじめFW久保、米山知奈の両選手らが現役引退を表明。これまで主力としてチームをけん引してきた彼女らが「今の若い世代はレベルが高い」と口をそろえたように、若手の台頭も著しい五輪になった。
世代交代を迎えた新生スマイルジャパン。さらなる歴史を築くべく、海外大会への参戦で経験を積むことにも積極的だ。世界選手権や4年後の五輪でメダルを手にするため、日々強化に汗を流す選手たちから目が離せない。
押切選手は、自己ベストを更新する滑りで18年の平昌五輪から順位を一つ上げて8位に食い込んだ。この種目で日本勢12年ぶりの入賞だった。「積み上げてきたものを出し切ることと、レースを楽しむ目標をクリアできた」と話した笑顔が印象的だった。
(石川優介)