ロシアのプーチン政権が今月上旬、性的少数者を含む「非伝統的な性的関係」に関する宣伝を全面禁止する法律を成立させたことに絡み、モスクワの図書館の「廃棄処分リスト」に日本の文学作品も入ったことが分かった。文学関係者らが19日、通信アプリで一斉に明らかにした。
通信アプリに掲載されたリストには53点あり、この中に吉本ばななさんの「とかげ」、村上春樹さんの「スプートニクの恋人」が入った。どのような内容や描写が問題視されたかは不明だ。村上作品はロシアでも一定の人気がある。
この法律は、ウクライナ侵攻の影で進む非欧米化と保守化の象徴と見なされ、提案時から「表現の自由」を阻害すると懸念されていた。
線引きはあいまいで、同じく「非伝統的な性的関係」でも、不倫がテーマの文豪トルストイの「アンナ・カレーニナ」、米国に亡命したナボコフの「ロリータ」は現時点で対象外。制定前、プーチン政権与党「統一ロシア」議員は、古典作品が対象外になるという認識を示していた。