【ワシントン時事】トランプ前米大統領の支持者らが連邦議会議事堂を襲撃した事件を巡り、事件を調査する下院特別委員会は19日の最終公聴会で、トランプ氏を「反乱の扇動・ほう助」など四つの容疑で刑事訴追するよう司法省に勧告することを決議した。法的拘束力はないが、2024年大統領選に出馬を宣言したトランプ氏には打撃となる。
勧告したのは(1)政権交代の手続きを妨げた公務執行妨害(2)米政府に対する不正の共謀(3)偽の選挙人名簿作成による議会や国立公文書館への虚偽証言の共謀(4)支援者を集め、議事堂へけしかけた反乱の扇動・ほう助―の四つの容疑。ラスキン委員(民主)は公聴会で「襲撃者を支援したトランプ氏を告発する十分な証拠がある」と述べた。
事件を巡っては既に、独立性の高い「特別検察官」がトランプ氏の捜査に着手しており、勧告は象徴的な意味合いが強い。ただ、特別委としては、世論を喚起して訴追を後押しし、24年の前大統領の返り咲きを阻止する狙いがある。チェイニー副委員長(共和)は席上、「(トランプ氏は)いかなる公職にも不適切だ」と述べた。
民主党と共和党の「反トランプ派」で構成される同委はおよそ1年半にわたり、1000人を超える関係者から公開、非公開で聞き取りを実施した。21日の報告書発表に先立ち、154ページの概要版を公表し、20年の大統領選で敗北したトランプ氏が結果を覆そうとした経緯などを紹介した。
来年1月からの新議会では共和党が下院の主導権を握るため、同委は解散される見通しだ。