(1)3年ぶり 学校行事復活に喜び

  • 特集, 記者ノートから2022
  • 2022年12月12日

  今年は一体何度、原稿の中に「3年ぶり」と書いただろうか。新型コロナウイルスと共存するウィズコロナの考え方が浸透する中、学校行事は学年ごとから全校一斉、中止から復活へとシフトした。教育現場にコロナ前の風景が取り戻されつつあることを喜びながらも、3年の重みを感じた1年だった。

   今年度は保育園から小中学校、高校、大学まで教育現場に触れる機会が多くあった。特に高校や大学は昨年度から担当しており、教員をはじめ顔見知りになった生徒らから「去年、おととしはできなかったが久々に再開する」「今年は去年よりも派手にした」といった行事の取材依頼を多く頂いた。

   そんな中でも印象に残っているのが、苫小牧高等商業学校3年の生徒会長とのやりとり。3年ぶりに復活するという学校祭での出し物について、具体的な内容や前回との違いを質問すると「初めてやるんです…」と打ち明けられたことだ。

   一瞬、えっ? 最高学年の3年生なのにどういうこと? と思考回路が停止したが「3年ぶり↓2年間実施していない↓3年生でさえ知らない」と話がつながった。その場にいた教員も「今の生徒たちは知らないんですよ。今年やらないと長年行ってきた企画が受け継がれなくなってしまう」と困惑した表情を見せた。

   それは他校も同じ。「3年ぶりに全校生徒で運動会ができた」と喜ぶ校長、「一般客の前で発表した経験がないのでうれしい」と目を輝かせる学生―。

   中学、高校生活はそれぞれ3年間だけ。2年間もブランクがあると教員も入れ代わり立ち代わりし、行事の消滅につながりかねない。来年こそは生徒たちに空白期間のない学校生活を送り、たくさんの思い出をつくってほしいと切に願う。

  (樋口葵)

  ◇

   2022年も残りわずか。記者たちが今年、印象に残った出来事などを振り返る。

過去30日間の紙面が閲覧可能です。