▽寂しさと期待が交錯
安平町早来地区の小中学校4校は、今年度限りで一斉に学校の歴史に幕を下ろす。閉校式典は安平小学校が先陣を切り、11月19日に体育館で執り行った。
在校生19人、教職員、保護者をはじめ、町内や近郊からの来賓などが約70人出席。関係者があいさつをし、児童らは鼓笛演奏をした。
あと5カ月ほどで母校がなくなる寂しさと、新しい学校への期待。二つが入り交じる不思議な空気が会場内に満ちていた。
▽小規模校のぬくもり
「休み時間は、低学年の子と一緒にかたきや鬼ごっこをしてよく遊ぶ。人数が多い学校だと、下の学年と関わることは少ないと思うけれど、ここ(安平小)では毎日のように関わるんだよ」―。
閉校式典で児童代表としてあいさつをした後期児童会の会長高田侑摩君(12)は、式典を終えて話した。
同校では、学校生活はもちろん、行事などでも全学年を縦割りにして班を組み、上級生はお兄さん、お姉さんとして下級生を教え、見守っている。高田君も低学年の時は上級生に指導を仰ぎ、今は学校のリーダーとして下級生を導く存在になった。全ての児童が毎日顔を合わせ、「きょうだい」のように仲の良い間柄。そこには地域に根差した小規模校ならではのぬくもりが広がっている。
▽子どもを誇りに
温かく親しみの持てる学校の閉校に、地域住民は「惜別の思い」を抱いている。その中で、及川秀一郎町長、種田直章教育長は小中学校の統合について「未来を担う子どもたちのことを最優先に考えた決断」と口をそろえ、「児童、生徒に今よりも良い教育環境を提供できる」と保護者や地域と合意形成を図ってきた。
「(閉校は)寂しいが、新しい学校へ行く楽しみもある」と高田君。春には中学生、早来学園の7年生(中学1年生相当)になる。「まだ何をやるかは決めていないけれど、部活動に入りたい」と前を向く。安平小の中島勉校長は「わが校の誇りは何かと言われたら、大人の話をしっかり聞いている子どもたち。その姿が、良き歴史と伝統として引き継がれている」と言葉に力を込め、寂しさの中に新たな時代を切り開く子どもらの姿を思い描いた。
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安平町早来地区の小中学校4校は、小中一貫の義務教育学校「早来学園」の来春開校に伴い、長い歴史に幕を閉じる。母校への思い、新しい学校での期待などを在校生、保護者、地域住民などに聞いていく。