胆振東部地震で被災した郷土の復興を目指し、安平町民の有志グループが2019年11月に立ち上げた町追分地区のコミュニティースペース「ENTRANCE」(エントランス)が開設から3年たった。学びを挑戦につなげる町独自の教育事業「あびら教育プラン」の活動や町民交流のイベント会場などに活用されてきたほか、移住定住事業の拠点にもなるなど、地域活性化の力となることが期待されている。
エントランスは、JR追分駅前の空き店舗を改修し19年11月16日にオープン。震災に遭った町民に元気を取り戻してもらう交流の場を目指し、食事会でも使えるキッチンエリア、机や椅子を自由に動かせるフリーエリア、小上がりを開設。地域の交流施設として子どもから大人まで幅広い年代の町民に利用されてきた。
今年は6月に音楽イベントを開催したほか、8月には現地移住体験ツアーの本部としても活用された。今秋からは、あびら教育プランに携わる地域おこし協力隊インターンシップ(職業体験)の学生らが活動の拠点として利用している。
今月19日には開設3周年記念のイベントを開催。遊びのスペースを開放したほか、地元の事業者協賛による焼き鳥やおでん、炊き込みご飯、パンやコーヒーなどを販売。また子どもたちによるポップコーンの販売コーナー、あびら教育プランを紹介する展示ブースも用意し、にぎわいを見せた。
エントランス施設長を務める地域おこし協力隊員の東條広大さん(22)は「イベントに参加するだけではなく、準備や設計まで住民と一緒につくり上げることを一つの表現としてやりたかった。子どもたちも準備段階から携わってくれ、当日も多くの人が来てくれた」と成功を喜ぶ。今後については「自分のスキル(技能)を表現したい人、何かにチャレンジしたい人が集まってくるような、連鎖が生まれる場になれば面白い。地域の人たちを巻き込みながら、施設を運用していく仕組みを構築したい」と意気込んでいる。