伊藤大海 エースに好不調は関係ない。日本ハムの伊藤は自らの状態が悪いと判断し、そこから逆算した。その結果が、リーグトップの7勝目を飾る今季初完封。「俺がエースだと言わんばかりの投球をしようと思っていた」との言葉に自負がこもる。
「最悪のコンディション」と気付き、慎重に投げ始めた。序盤は打たせて取ってかわし、七回は細川の内角を直球でずばっと突くなど3者三振に。硬軟自在の投球に「力感でコントロールし、勝負どころで強く投げられた」と自賛した。
紛れもない投手陣の屋台骨。ところが今季の交流戦では黒星が二つ並んでいた。前回13日の広島戦で打ち込まれた後のこと。新庄監督は「1点あれば十分という投球を見せるから、見ていてほしい」とのメッセージを受け取ったという。伊藤は「それくらい気持ちを入れるという思いを伝えた」と頭をかいた。
交流戦優勝の望みをつなぎ、自身も景気づけた。「いい経験になった。力技だけじゃないことを気付けてよかった」。白星こそ、先発投手の良薬だ。