岸田文雄首相は21日の衆院本会議で、葉梨康弘前法相と寺田稔前総務相が相次ぎ辞任したことについて「国会開会中に辞任する事態となったことは、誠に遺憾であり、任命責任を重く受け止めている」と陳謝した。20日に辞任した寺田氏の後任には、自民党の松本剛明元外相(63)が就任した。
首相は「政策に遅滞が生じないよう、政府一丸となって国政運営に取り組むことで、職責を果たしていく」と強調した。
山際大志郎前経済再生担当相も含め、1カ月足らずで閣僚3人が辞任する異例の事態。野党は一斉に反発しており、12月10日に会期末を迎える今国会の審議日程は、一段と窮屈になった。
首相は衆院本会議に先立ち、松本氏を首相官邸に呼んで起用を伝達。その後、記者団に「税制や情報通信、デジタル社会推進、行政改革など幅広い分野に精通し、閣僚経験もある」と理由を説明した。
松本氏は記者団に「大変重責だと思うが、しっかり負託に応えたい」と語った。
寺田氏の辞任を受け、2022年度第2次補正予算案の審議入りとなる衆院本会議は、午後1時に予定していた開会が2時間近く遅れた。
これに伴い、与野党は参院本会議での財政演説を当初の21日から22日に延期することで合意。22日に衆参両院本会議で予定していた首相外遊報告も、日程を再調整することになった。
首相は、補正予算案の成立を急ぎ、政権の立て直しを図りたい考え。衆院予算委員会は21日の理事懇談会で、25、28両日に実質審議を行う日程で大筋合意した。ただ、採決時期は決まっておらず、政府・与党が目指す月内成立は極めて困難な情勢だ。
補正予算案の成立がずれ込むと、その後に控える世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題の被害救済・防止法案の審議も、影響を受けるのは必至。政府・与党内では、会期延長が不可避との見方が強まっている。
首相は21日昼、公明党の山口那津男代表と会談。相次ぐ閣僚辞任について「大変迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪した。これに対し、山口氏は記者団に「任命権者として厳しい反省の上に再出発しなければならない」と苦言を呈した。