【ワシントン時事】米中間選挙(8日投開票)は、9日も開票作業が続いた。郵便投票の増加などによって結果判明に時間がかかっている。米メディアによると、野党・共和党が連邦議会の下院で優勢。上院では与党・民主、共和両党が一部の州で大接戦となり、大勢判明が大幅にずれ込む可能性がある。また、36州で知事選が行われた。
選挙戦は歴史的なインフレへの対応や人工妊娠中絶の是非、民主主義に対する脅威などが主要争点となった。事前調査で民主党の劣勢が伝えられていたが、上下両院でもつれている。民間の調査によると、投票率は9日時点で48・1%。 バイデン大統領は9日、ホワイトハウスで記者会見し、「メディアや専門家は(共和党の地滑り的勝利を意味する)『赤い波』を予測したが、それは起きなかった」と指摘。民主党の善戦を強調した。
CNNテレビによると、9日午後7時半(日本時間10日午前9時半)現在、全435議席が改選される下院では共和党が207議席、民主党は187議席をそれぞれ押さえている。
上院(定数100)は議席が改選対象となり、非改選を含め民主が48議席、共和が49議席を確保。両党の勢力が伯仲する「スイング・ステート(揺れる州)」のジョージア州ではいずれの候補も過半数に達せず、決着は12月の決選投票に持ち越された。
連邦議会と併せ、大統領選などの運営権限を持つ州知事や州務長官らの選挙も実施された。2020年大統領選でのトランプ前大統領の敗北を認めていない共和党候補も出馬。ワシントン・ポスト紙によると、少なくともそうした「選挙否定派」の候補167人が当選を確実にしている。
上下両院のいずれかでも共和党が多数派に返り咲けば、政権与党との「ねじれ」が生じ、バイデン政権の残り2年の政権運営は困難になる。24年大統領選への立候補を目指すトランプ氏の動向にも影響を与えるのは確実だ。
共和党は選挙戦を通じ、インフレ、犯罪増、不法移民問題でバイデン政権を批判。一方、バイデン氏は選挙を政権に対する信任投票ではなく、米国の民主主義と「異なるビジョン」との選択と位置付け、「選挙否定派」候補を支援するトランプ氏との対決姿勢を鮮明にしていた。