【ワシントン時事】バイデン米政権の任期前半の評価を問う中間選挙は8日、全米で投票が行われ、東部から順次開票が始まった。歴史的なインフレへの対応や人工妊娠中絶の是非などが主要争点。米メディアは、下院で多数派奪還を目指す共和党が優勢、上院は接戦との観測を伝えている。
CNNテレビによると、午後9時(日本時間9日午前11時)すぎ現在、全435議席が改選される下院では共和党が88議席、民主党は41議席をそれぞれ押さえている。定数100のうち35議席が改選対象の上院では、非改選を含め共和党が38議席、民主党が37議席で拮抗(きっこう)している。
上下両院のいずれかでも共和党が多数派となれば、バイデン政権の残り2年の政権運営は困難になる。選挙結果は、2024年の大統領選への立候補を目指すトランプ前大統領の影響力も占う。
下院は8日深夜(同9日昼)にも大勢が判明する見通し。上院ではペンシルベニアやジョージアなど勝敗を左右する一部の接戦州で、結果の確定に数日以上かかる可能性がある。
連邦議会と併せ、選挙の運営権限を持つ州知事や州務長官らの選挙も36州で実施された。州政府高官職には、20年大統領選でトランプ氏が敗北したことをいまだに認めない候補も多数出馬。こうした候補が勝ち抜けば、24年大統領選を含め、今後の選挙の公正性が揺らぐ恐れがある。
選挙戦中、ペロシ下院議長(民主)の夫が自宅で男に暴行されたほか、民主、共和両党の候補者や選挙関係者への襲撃、嫌がらせが相次いだ。一部の州では投票所近くで銃を持って有権者を威圧する市民の姿も確認された。政治的動機に基づく暴力に警戒が高まり、米国民の多くが「民主主義への脅威」を重要な争点と捉える異例の選挙となった。
バイデン大統領は9日に、選挙結果についての受け止めを表明する見通しだ。