財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は7日の分科会で、社会保障費の抑制策を議論した。現在は全額国費負担となっている新型コロナウイルスワクチンの接種について、財務省は、重症化率などの動向を見極めた上で、季節性インフルエンザワクチン同様に患者が費用の一部を自己負担する「定期接種」扱いとするよう検討を求めた。
財務省によると、国内のコロナワクチン接種は諸外国に比べて接種対象となる人と回数が多く、人口当たりの接種回数は他の先進7カ国(G7)各国よりも大きく伸びている。ワクチン調達費用や医療機関へ支払われた経費は2021年度に2兆3396億円に上り、接種1回当たりの費用は約9600円となっている。
今夏の感染「第7波」では重症化率や致死率がインフルエンザを下回ったデータも示された。このため、分科会では委員から「例外的な対応を見直し、ウィズコロナへ移行していくべきだ」といった意見が相次いだ。
薬の公定価格である「薬価」の改定についても議論。21年度分から毎年改定することになったが、その対象が市場の実勢価格との乖離(かいり)が大きい品目に限定されている。財務省は今年末に大枠を決める23年度薬価改定では、物価高での国民負担の軽減の観点からも、すべての品目を対象とするべきだと強調した。
コロナワクチン接種費用の一部自己負担をめぐる財政審の議論に関し、松野博一官房長官は7日の記者会見で「今後の課題として検討すべきではないかという趣旨と承知しており、足元の接種加速化の方針と矛盾するものではない」との認識を示した。