文化とは「人間が自然に手を加えて形成してきた物心両面の成果。衣食住をはじめ科学・技術・学問・芸術・道徳・宗教・政治など生活形成の様式と内容とを含む」。
岩波書店「広辞苑」第7版の語釈だ。技術的発展の意味合いの強い「文明」とは区別するそうだ。政治は文化だが、戦争はどうなのだろう。今年の文化の日は、文化とはかけ離れた北朝鮮の立て続けのミサイル発射によって朝から夜まで揺れた。
3日は午前に3発、夜に3発のミサイルが発射された。日本海に向けて約80発の砲撃も行われたという。ミサイルは、前日の2日にも23発以上が発射されたと大きく報道されている。
日本の全国瞬時警報システム(Jアラート)は、今回も問題点をさらした。警報は宮城、山形、新潟の3県に発令され建物や地下への避難が呼び掛けられた。しかし発令は上空通過時間後。先月4日の道内への発令時には一部自治体の放送施設の不具合が明らかになった。今回も新潟県で判明し、改めて点検が呼び掛けられた。いったん「ミサイルは太平洋へ通過した」と発表されたが「日本列島を通過していない」と訂正された。理由は「消失」だった。携帯電話から流れる不気味な警報音の恐怖と不快を味わっただけ。日本は試されているのだろうか。
非難と抗議、軍備の増強―。看板は見えても具体的な危険の規模、安全確保策は見えない。新聞には「次は核実験」の見出し。慣れるしかないのか。(水)