ラジオ放送を聞いている。通勤時間でマイカーの車内に流れるのは、ラジオからのニュースや天気予報など貴重な情報だ。もう今季は終わってしまったがプロ野球の試合も必ず放送される。地上波でのテレビ放映がめっきり少なくなったのとは対照的だ。
ラジオの歴史をひもとくと、1925(大正14)年にNHK(当時は東京中央放送局)が放送したのが始まり。つまり百年近くの歴史がある。太平洋戦争の終わりを告げる天皇の玉音放送をラジオで聞く光景は、終戦の日の象徴的な出来事だ。
70年代、80年代は深夜放送全盛期。オールナイトニッポン、セイヤング、パックインミュージック…。勉強をするふりをして、雑音の中から何とか聞き取れる局をチューニング。かすかに流れる放送に耳を傾けた。
当時、ラジオは最先端の情報を流していた。例えばテレビは歌謡曲全盛の時代。ポップスや洋楽はラジオ放送が大きな情報源。生活に密着し、欠かせない役割を担っていた。今でも地震を含め災害発生時のラジオの有用性に疑いはない。
そんなラジオもネット社会に押されてやや肩身が狭くなっている。「新聞」が置かれている環境と似ている。ただし、この二つのメディアの役割は「不変」。ラジオは専用のソフトを入れさえすれば、スマートフォンでも聞ける時代になった。変革が続く。新聞はどうだろう。変化を恐れていないか。ラジオを聞きながら自問する。(昭)