コロナ死者の火葬 ガイドライン見直し検討 霊葬場入館できず 遺族の心情に配慮 苫小牧市

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  • 2022年10月27日
コロナ感染で亡くなった人の火葬後、遺族による収骨が認められていない高丘霊葬場

  苫小牧市は、新型コロナウイルスに感染し、死亡した人の火葬に関するガイドラインの見直しを検討している。現在は感染拡大防止の観点から、高丘霊葬場で火葬する際、遺族の立ち会いや収骨を認めていない。しかし、遺族の心情を踏まえて、収骨を可能としている他市の事例も参考に、霊葬場への入館を原則禁止する現行措置をどう改められるか探る。

   国の指針に基づく市のガイドライン(2020年5月策定)は医療機関や葬祭事業者の対応、高丘霊葬場への移送、火葬、遺族への遺骨引き渡しまでの流れをマニュアル化している。

   それによると、医療機関は、コロナ感染で入院し死亡した人の遺体を二重構造の非透過性納体袋に収納・密閉して、遺族や葬祭事業者へ引き継ぐ。事業者は自社施設に遺体を一時安置し、火葬日時に合わせて高丘霊葬場へ移送。他の会葬者がいない時間帯に火葬した後、霊葬場職員が収骨し、事業者を通じて遺族に引き渡す―としている。

   遺族は霊葬場の玄関前まで行けるが、入館できず、火葬前の立ち会いや収骨はできない。遺族は火葬の間、屋外に止めた車の中で待機するか、一時帰宅した後に遺骨を受け取る。現状では、事業者が遺骨を遺族の自宅などに届けるケースが多いという。

   国の指針では「遺族などの気持ちに最大限寄り添った対応を行うこと」と示し、火葬時の立ち会いや収骨を禁止していない。しかし、市のガイドラインでは、遺族が濃厚接触者かどうか判断できないなどとして、感染対策で霊葬場への入館を原則不可としている。

   一方、収骨を認めている自治体もある。苫小牧市が遺族による収骨について、近隣市や人口10万人以上の10市を調べたところ、札幌市や旭川市、小樽市など6市は可能とし、千歳市や恵庭市、帯広市など4市は不可―と対応が分かれている。

   こうした実態や遺族の心情を考慮して、苫小牧市環境生活課は「施設の運営に支障が出ないようにしながら遺族に配慮できる方策を検討したい」とし、年内に高丘霊葬場の指定管理者や葬祭事業者など関係者から意見を聞き取り、対策や課題の調査を進める。

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