法制審議会(法相の諮問機関)の刑事法部会は24日、性犯罪への対応強化に向け、現行の刑法で13歳の「性交同意年齢」を16歳に引き上げる試案を提示した。試案は強制性交等罪の構成要件を明確化するとともに、盗撮などを罰する「撮影罪」も新設。被害が顕在化しにくい性犯罪の特殊性を考慮して公訴時効の5年延長も盛り込んだ。法務省は部会での議論を慎重に見極めつつ関連法案の提出時期を探る考えだ。
性交同意年齢とは、性行為について同意する能力があるとみなされる年齢の下限を指す。国際的には14~16歳としている国が多く、日本の水準は低過ぎるとの声が上がっていた。
試案は13歳未満との性交はこれまで通り例外なく違反行為と規定。一方、13歳以上16歳未満に関しては、同年齢など年齢が近い者同士の行為は違反とせず、5歳以上離れた者が性交した場合を処罰対象とした。これらに違反した場合、5年以上の拘禁刑とした。
強制性交等罪は「暴行または脅迫」、準強制性交等罪は「心神喪失もしくは抗拒不能」としていた構成要件を「拒絶困難」に統一した。
具体的には8項目を列挙。「暴行または脅迫」のほか、「経済的、社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させる」などが加わった。
「教師と生徒」「上司と部下」といった関係を利用した性犯罪にも歯止めをかける狙いがある。
このほか、配偶者間でも強制性交等罪が成立すると明確化。物を被害者の膣(ちつ)または肛門に挿入する行為も強制性交等罪と位置付けた。
撮影罪については、盗撮を指す「正当な理由なくひそかに人の性的な部位などやわいせつな行為、性交間の姿態を撮影する行為」を禁止。拒絶困難な状態にしたり、診断と偽ったりして性的な姿を写す行為も処罰対象とした。違反は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金とした。
公訴時効に関しては、性犯罪全般について時効を5年延長。これにより強制性交等罪の時効は10年から15年に延びる。さらに、犯罪終了時点で被害者が未成年の場合、18歳に達するまでの期間が時効に加算される。