Q…10月13日午後、自宅の上空を編隊で飛んで行くハクチョウを見ました。それを見た長女が先頭を飛んでいるのがリーダーだよと教えてくれました。本当ですか?
A…お嬢さんの言うように、編隊で飛んでいる先頭がリーダーかもしれませんね。でも科学的に証明されてはいないんです。
そもそも、なぜ編隊で飛ぶのでしょう?
渡り鳥には編隊を組んで飛ぶものと編隊を組まないものがいます。編隊を組むのはハクチョウやガン、カモ、ペリカンなどに限られます。これらの鳥類は大型で、体重に比べて翼が小さいため飛行効率が良くありません。そのため編隊飛行を行うことで、飛行効率を上げていると考えられているというのが一般的です。編隊の端にいると前を飛んでいる鳥の翼端にできる上昇気流「翼端渦」の影響で浮力が増し、飛行しやすくなると考えられているからです。
しかし、いまだに科学的に明確な裏付けがありません。編隊で飛行する方が単独で飛行するよりもエネルギーを節約できるという根拠は、今のところないのです。
また、リーダが存在しているかという疑問に対する解答はさらに難しく、互いの姿が見えやすくコミュニケーションを取りやすいから編隊で飛び、リーダーは編隊のどこかにいて指示を出してるのかもしれないという説もあります。もしかしたらリーダーが必要なく、全員が本能で飛んでいるのかもしれません。ハクチョウに聞いてみたいものです。
(文とイラスト 自然誌研究家〈ゆうふつ原野自然情報センター主宰〉村井雅之)=随時掲載