▽最後の学校祭
9月17日、安平町の早来小学校体育館で行われた早来中学校の学校祭。「挑~限りある青春に全力で挑め~」のスローガンの下、生徒たちは合唱、演劇、壁新聞、アトラクションのパフォーマンスなどを繰り広げた。
「それぞれのクラスにドラマがあったと思う。そしてこれが新たな挑戦への糧になる」―。山田誠一校長は演目の総評で、この日のために頑張ってきた生徒たちをねぎらった。
早来中は、小中一貫の義務教育学校「早来学園」が来春開校することに伴い、今年度限りで閉校になる。このため、同校の学校祭は今回が最後。生徒、教職員とも、希望と寂しさを感じる一日となった。
▽花を添える
学校祭の演目の中で目を引いたのは、生徒が企画した「早来コレクション」と題したファッションショー。モデルになった生徒らは、おしゃれに着飾ったり着ぐるみ姿で登場したり、ステージ上でユニークなパフォーマンスを披露した。早来学園の制服やジャージーを紹介する生徒もいて、一人ひとりが輝きを放ち、最後の学校祭に花を添えた。
生徒会長で3年の山﨑大知さん(15)は「これで最後なのは少し寂しい」としながらも、「無事に成功できてホッとしている」と表情を和らげた。
▽小中一貫校の行事
町内の小中学校4校を一つにまとめるに当たり、学校行事は一つの課題となる。
町教育委員会は、小学校の学習発表会、中学の学校祭を、早来学園では一本化し「早来学園祭」(仮称)とする方針。1年生から9年生(中学3年生に相当)までが参加する「教科の学びを生かした発表、表現をする場にしたい」とし、運動会、体育祭についても同様の方向で考えている。
ただ、統合対象の小学校3校には、住民を交えたアトラクションや全校児童でのパフォーマンスなど、それぞれに特色ある取り組みをしてきた歴史がある。それを何も取り入れずに刷新してしまうのか。これまで閉校と統合に関する地域説明会でも、議論されてきた内容だけに、結論を出すのは容易ではない。
現在、小中学校4校の教職員は定期的に協議を重ねているが、各校の取り組み全てを組み込むのは難しい。それでも、各校の「伝統」を基礎にして新たな学校の伝統を構築していくことができれば、教育の場はまちづくりの力となり、各地の小規模校の光にもなるだけに、現場関係者は模索を続けている。