プロ野球で導入されているリクエスト制度。審判の判定をビデオで検証できる仕組みだ。試合進行を妨げる抗議時間も随分少なくなった。
プロの審判関係者に判定について聞いたことがある。「今はビデオでスロー再生もできる。プレーは丸裸ですよ。一瞬のことを人間の目で判定するし、当然誤審の可能性も出てくる」
胆振管内で行われたある野球大会の話。打球が弱々しくピッチャー前に転がった。打者は片足を上げ、ぴょんぴょん跳ねて自打球のファールをアピール。キャッチャーは「当たってない」と苦笑い。審判はフェアの判定。打者は「駄目だったか…」と笑いながらベンチへ戻った。
もう一つ。ピッチャーがインコースに投げ込むと打者が後ろに転がって倒れ、「当たった」とアピール。審判は「デッドボール」の判定。打者に試合後に聞くと「当たってない」。平たく言うと、虚偽の申告が認められたことになる。
サッカーにはシミュレーションという反則がある。相手のファールによる転倒を装って審判の目を欺く行為で、イエローカードが出されるのが一般的。
以前、甲子園で4番打者への5打席連続敬遠が大きな議論になり、2塁走者のサイン盗みも問題視された。しかし、なぜか”怪しい”アピールプレーは非難されることが少ない。アマ野球ではリクエストもなく、審判の判定だけが頼りになる。フェアプレーの本質はどこにあるのか。(高)