むかわ 宮戸小の木育授業(上) 苫東・和みの森を活用 自然の中での学習満喫

  • 地域の伝統をつなぐ 秋の行事, 特集
  • 2022年10月19日
苫東・和みの森で自然について学ぶ宮戸小の児童=9月下旬、苫小牧市静川

  ▽教材は地元の自然

   秋晴れの9月下旬、むかわ町の宮戸小学校(金澤堅一校長)の児童たちが木育授業で苫小牧市静川にある苫東・和みの森を訪れた。

   講師を務めた胆振総合振興局森林室(苫小牧市)の職員や木育マイスターから、コブシやチシマザクラ、ハルニレ、ナナカマドなどの木や葉について説明を受けながら、木の特徴を学べる用紙にチェックを入れていった。途中、児童たちを歓迎するように、木陰からリスがひょっこり顔を出し、歓声を上げる一こまも。

   森を1時間半ほどかけて探検し、最後には手動油圧式まき割り機を使って丸太切りを体験。「楽しい!」と自然の中での学習を満喫していた。

   ▽カリキュラムを充実

   むかわ町では木育授業に力を注いでいるが、中でも宮戸小の授業内容は濃い。学校が森に囲まれている教育環境をフルに生かし、森を散策して季節を感じたり、木や葉っぱの調べ学習をしたりする活動をしている。さらに秋には近郊の和みの森で紅葉に触れる時間を、冬には穂別地区のほべつ道民の森に足を延ばして冬山体験や木の芽の観察、ウサギやキタキツネの足跡探しをする楽しい時間を設けている。

   さらに公益社団法人北海道森と緑の会主催の「緑化活動啓発作品」コンクールに定期的に出品し、昨年度まで3年連続で入賞者を輩出するなど、カリキュラムの中身を一歩一歩充実させ、自然の中で子どもたちをたくましく育ててきた。胆振管内の木育関係者が「これだけ木育に力を注いでいる学校は他にないのでは」と言うほどだ。

   ▽今後の取り組み

   同森林室によると、和みの森を今年度、授業で使った胆振管内の学校は宮戸小のみ。以前は苫小牧市や厚真町の学校も木育を取り入れ、森を活用していたが、塚野雅彦主査は「カリキュラムが変わっていく中で学習時間が限られ、こうした活動は少なくなっている」と話す。その宮戸小も今年度限りで閉校となるため、来年度以降、授業で森を活用する学校は未定だ。

   むかわ町教育委員会はこうした授業について「貴重な活動なので、学校の閉校で終わりになるのは惜しい」と話す。カリキュラムは学校現場の負担を加味しながら調整するため、考えたことをすべて実現できるわけではないが、「どういう形でできるか、協議していくことになる」と町内他校での存続に向けて模索する姿勢を示している。

      ×  ×

   むかわ町の宮戸小、安平町早来地区の4小中学校の閉校まで半年を切った。各校で取り組んできた独自の取り組みが来年度以降、学校現場でどのように反映されていくのかを探る。

過去30日間の紙面が閲覧可能です。