松野博一官房長官は14日午前の記者会見で、安倍晋三元首相の国葬経費について、総額約12億4000万円だったと発表した。海外要人の滞在日数が想定より短くなったため、事前に公表した概算の総額16億6000万円程度を約4億2000万円下回った。政府は同日、国会にも報告した。
経費の内訳は、会場費が2億4000万円、警備費が4億8000万円、外国要人の接遇費が5億1000万円、自衛隊儀仗(ぎじょう)隊の車両借り上げ費が1000万円だった。
松野氏は「速報値」だと断りつつ、概算を下回ったことについて「国葬を執り行うために必要十分なものだった」と強調。減額の要因を「警察官の宿泊費や超過勤務等の減少、接遇に要した車両の手配や職員旅費の減少等と聞いている」と説明した。
政府による国葬の検証に関しては、憲法や行政法、政治学、外交などの有識者20~30人から個別に意見を聴取し、論点を整理して公表すると明かした。時期については「一定の時間が必要だ」と述べるにとどめた。
国葬は9月27日に日本武道館(東京都千代田区)で行われ、217の国・地域・国際機関の734人を含む4183人が参列した。当初は国内外合わせて6000人程度の出席が想定されていた。
政府は8月下旬、会場費として約2億5000万円の予備費支出を閣議決定。その後、警備8億円程度、外国要人の接遇6億円程度、自衛隊儀仗隊の車両借り上げ1000万円程度とする見積もりを示した。