Q…ナツアカネとアキアカネの違いは何ですか?友人は夏に見られるのがナツアカネ、秋に見られるのがアキアカネと言いますが本当ですか?
A…夏に見られるからナツアカネ、秋に見られるからアキアカネと思っている方が多いですが、残念ながら違います。
ナツアカネとアキアカネは別の種類で、ナツアカネはアキアカネよりも一回り小さく、雄は成熟すると頭部から全身が鮮やかなあかね色になります。鮮やかなあかね色の顔から「酒飲みトンボ」と呼ぶ地域がありました。一方、アキアカネの雄も体や頭部があかね色をしていますがナツアカネほど鮮やかではなく、胸の模様なども違うことから区別できます。ただし、両種とも雌や未熟な雄は似ているので胸の脇にある模様などをよく見なければ区別は難しいでしょう。
北海道には約13種類のアカトンボ(アカネ属)が生息していますが、生息地や生息数が少なくなってしまった種類がいます。その代表がナツアカネで、道東と道北の一部を除き全道に生息していますが、生息数が少なく、近年はさらに減少傾向にあります。そのため北海道が作成した「レッドデータブック」では、「希少種」として扱われるようになってしまいました。ちなみにアキアカネなど他のアカトンボも減ってきています。減ってしまった原因は主に農薬によるものと考えられています。
幼虫時代を湿地などの水中で成長し、羽化してから成熟するまで林などで過ごすトンボは、種類や生息密度などから自然環境の豊かさを知ることができます。さて、あなたの周りには何種類のトンボたちがどのくらいいるでしょうか?
(文とイラスト 自然誌研究家〈ゆうふつ原野自然情報センター主宰〉村井雅之)=随時掲載