多彩な 資料公開 国立アイヌ民族博物館 特別展「イコロ ウエカリレ」始まる  白老

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  • 2022年9月17日
道内初公開となる資料「挂甲」

  白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)中核施設・国立アイヌ民族博物館(佐々木史郎館長)で17日、第5回特別展示「イコロ ウエカリレ―アイヌ資料をコレクションする」が特別展示室で開幕した。アイヌ民族の歴史と文化を語る上で欠かせない資料と、それらを収集してきた人物や組織に焦点を当てて紹介している。11月20日まで。

   展示は5章立てで、小刀や衣服などの民具から、アイヌ文様を施したプロ野球・日本ハムファイターズのユニホームやアイヌ文化を題材にした漫画「ゴールデンカムイ」まで計255点を並べる。

   資料を近世・近代・現代に分け、各時代で資料を収集してきた人々がどのような「アイヌ像」を描いていたのかを紹介。特にアイヌ民具がコレクションされてきた歴史に注目し、「伝統」とは何かを知ることができる内容になっている。

   見どころは、アイヌ資料に関連する数々の国指定文化財。江戸幕末期の探検家、松浦武四郎のコレクション(重要文化財)やアイヌ文化研究家の故萱野茂氏の集めた重要有形民俗文化財などが並ぶ。希少性が高い資料には道内初公開となる「挂甲(けいこう)」(革のよろい)もあり、目を引く。

   期間中は同館職員によるギャラリートークを予定しているほか、10月1日午後1時半から北海道大学アイヌ・先住民研究センターの山崎幸治准教授による講演会がある。11月5日午後1時からは同館や同大らの有識者によるシンポジウムも。いずれも当日の開始30分前から受け付けを行う。

   佐々木館長は、資料の中にはアイヌ民族が自分たちの文化を守り、子孫に残すために集めたものもあるとし、「日本各地から集めた多彩なコレクションを堪能してほしい」と話している。

   観覧料は大人300円、高校生200円、中学生以下無料。この他にウポポイ入場料が必要となる。入場はオンラインによる事前予約制で、詳しくはウポポイのホームページ(https://ainu-upopoy.jp)に載せている。

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