2種の攻防 ハンノキハムシとケヤマハンノキ 真夏の芽吹きで防衛

  • 支笏湖日記, 特集
  • 2022年9月9日
8月下旬の新緑を食べるハンノキハムシ

 9月初旬の支笏湖の森を歩くと、植物の実りやカラ類の群れ形成など、さまざまな場面で秋の気配を感じ取ることができます。ですが、森の木々はまだまだ濃い緑の葉を付けたものが多いですよね。ところが、森のあちこちに茶色になった葉を付けている木があります。実は今回お話しする樹木は8月にすでに茶色に色づいて、木の下には夏には似つかわしくない茶色の葉が降り積もっていました。

 この茶色の葉をよく見ると葉脈だけが残っていて、まるで「レース」のような状態になっています。この樹木の名前はケヤマハンノキ、そして、この葉の葉肉を食べたものの正体はハンノキハムシという黒っぽい藍色の光沢を持つ7ミリほどの甲虫です。

 地表付近で冬を越したハンノキハムシの成虫は、木々の芽吹きの頃に姿を現して葉を食べます。6月ごろには、成虫は姿を消しますが、黒い色をした幼虫が発生してこれまた葉を食べて大きくなり、8月に入ると姿を消します。そして、秋の気配が漂う8月の下旬に再び成虫となって姿を現すのです。

 これら2種の関係はハンノキの側からみると、たまったものではありません。ところが、いろいろな資料を調べてもハンノキが枯れてしまうことはほとんどないとか。実は、食べられる被害者のハンノキ側にも奥の手があるのです。真夏に新緑を芽吹くのです。こんな樹木、他を探してもそうないと思います。私の勝手な見方かもしれませんが、これら2種の何万年もの関係の中で、ハンノキ側が自己防衛のために身に付けた技なのではないかと思っています。

 一方、近年の温暖化はハムシの越冬成功率を上げて食害が増す方向に働いているのではないか、との見方もあるようです。2種の攻防、今後も目が離せません。

 (支笏湖ビジターセンター自然解説員 榊原茂樹)

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