―復興まちづくりの状況は。
2024年度に予定する早来町民センターの耐震化や大規模改修は、防災支援メニューを活用して実施。事業は第2次総合計画の後期計画(23~26年度)に反映させたい。早来小中学校の工事は10月に完了し、来年4月に(小中一貫の)義務教育学校「早来学園」を開校させる。胆振東部地震の検証結果を受けて配慮、継続していく取り組みや、後回しにせざるを得なかった通常の道路修繕、公園整備も進めていきたい。
―「早来学園」が復興に寄与するものは何か。
いまだ仮設校舎で子どもたちが勉強している状況を元通りに戻すだけではなく、まちの復興に貢献すると考える。町内の子ども園に魅力を感じ、子どもを通わせている町外の子育て家庭もあるが、安平町に住民票を移すまでには至っていないのが実情だ。早来学園にも魅力を抱き、子どもを入学させるため移住してくる動きを期待しており、そうなれば、まちづくりに大きなプラスになる。町民にも図書室やキッチン、体育館などを開放する。コロナ禍で停滞するコミュニティーを再生させる場にしたい。閉校になる遠浅、安平両小学校の跡地利用についても地区別計画を策定し、地域の活性化につながるように配慮していく。
―安平への移住者が増えていると聞くが。
有機農業やメロン生産の新規就農で若い夫婦が安平へ移住する動きがあり、より促したい。震災で空き地になった場所には、チャレンジショップやサテライトオフィスの施設を造り、活用してもらっているが、町内で事業を続けてくれることを期待している。震災後、地域活性化起業人として採用した方々が、期間満了後もアドバイザーとして残ってくれているのは心強い。NPO法人もこの4年間で7団体増え、行政だけでは手の届かないところをフォローしていただいている。さまざまな人のおかげで各地から人が町に集まってきた。移住ツアーを通して実際に移り住む人も増え始めている。
今年7月までで人口減が落ち着き、さまざまな対策の効果が少しずつ出てきていると感じる。施設を含めて既存のものをより良くすることで、移住定住の促進や関係人口、交流人口の創出につなげていきたい。
―防災力の向上をどう図るか。
震災の教訓を生かした防災計画を作り、施策を講じていきたい。民間との災害協定締結にも力を入れ、有事の際には支援をお願いしていく。安平町は津波の影響を受けにくい地域だと思うので、近隣からの避難者の受け入れも意識していきたい。胆振東部地震の時は涼しい時期だったが、真夏に避難所を使うとなると、暑さ対策も問題になる。現状では多くの避難所で冷房設備が整っていない。災害対策を進める上で、アンバランスな年齢構成が生じている町の職員体制も見直していきたい。