<5> 地域のために営業再開 再出発 震災前より良いまちに

  • 特集, 胆振東部地震から4年
  • 2022年9月5日
昨年末に完成したむかわ町末広の新店舗で思いを語る白田社長

 【まちの便利屋】

 「こんにちは」「いらっしゃい」―。むかわ町末広にある町内で唯一の電器店「白田電気商会」。多くの町民がさまざまな相談や依頼を持ち寄って来る。

 「結局、便利屋になっちゃってる」。接客も、配達、修理工事もこなす社長の白田忠美さん(64)は、そう言って苦笑いする。

 木造平屋のおしゃれな店内にはテレビ、炊飯ジャー、湯沸かし器などの家電製品のほか、来店客が一息つける休憩スペースがある。壁にずらりと並ぶプロ野球・北海道日本ハムファイターズのレプリカユニホームは、白田さんのコレクションだ。

 【地震の爪痕】

 地方には、長引く景気の低迷で営業不振や後継者不在の問題を抱え、シャッターを下ろす店がある。その中で厚真、安平、むかわの3町は、2018年9月の胆振東部地震で大きな被害を受けた。商工業の建物被害は計158戸におよび、安平、むかわ両町では多数の事業者が廃業した。

 営業を続ける事業者も、建物が全壊、または半壊の判定を受け、3町で計10事業者が仮設店舗での営業を余儀なくされた。特にむかわ町の「まちなか」の再生は、今も課題となっている。

 【町民のために】

 白田電気商会も地震で自宅、倉庫、2階部分のアパートを併設する建物が損壊。店舗内には商品が散乱した。発災直後、消防団の業務を担っていた白田さんは「店に戻ってきたら、赤紙(建物の全壊判定を示す紙)が張られていた。解体すると思うとショックだったな」と当時を振り返る。

 しかし、かつて町内に数軒あった電器店は自店のみになっていたため、閉じる考えは全くなかった。「やめたら、俺、飯食っていけないから。自分も困るし、お客さんも困るから」。

 プレハブや町松風の仮設店舗で営業しながら、被災者の家電修理や買い替え、取り付けに対応。偶然にも地震から丸3年たった昨年9月6日、旧店舗跡地で新店舗の建設が始まり、11月20日にリニューアルオープンを果たした。

 今、目指すのは、後継者を探しつつ、商売を軌道に乗せること。「後継者をつくろうと思ったら、なおのこと利益を出していかないと。失敗は許されない。地域のためになくすわけにはいかないから」と表情を引き締める。

 【震災前以上のまちに】

 発災から4年がたち、厚真、安平両町は4月から、事業者が仮設店舗にそのまま有償で入居できるように条例を制定した。むかわ町では、仮設店舗に入っていた白田電気商会のほか2事業者が、別の場所に移転して再出発している。

 空洞化したまちなかの整備では、安平町が早来地区にトレーラーハウスを整備。コミュニティースペースやカフェも展開している。むかわ町は空き店舗を利活用し、町観光協会がチャレンジショップをオープンした。

 震災前より良いまちに―。関係者は心を一つにして、日々知恵を振り絞っている。

 (胆振東部支局・石川鉄也が担当しました)

 ―終わり―

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