思い出は宝物

  • 恐竜のまちから 香山リカ, 特集
  • 2022年8月27日

 北海道でも新型コロナウイルスが猛威を振るっている。私が勤める穂別診療所でも、8月半ばあたりから検査数、感染者数がいきなり増加した感がある。

 多くの専門家が分析するように、夏休みやお盆で親族や知人に会う機会が増えたからだろう。このウイルスは強烈な感染力があるから、たとえ無症状でもウイルスを持っている人と会うと、うつってしまうことがあるのだ。

 ただ、「お盆は人に会うからコロナになりやすい」というこの”法則”は、必ずしも全国にあてはまるわけではなさそうだ。

 週末に診療をしている東京の病院では、今月の半ばあたりから逆に感染者数が減ってきた。「どうしてかな。北海道と逆だ」と言うと、ある看護師さんがこうつぶやいた。

 「東京では会社が休みでもお盆でも、特に親戚で集まることも近所の家族で海に行くこともないし…」

 そうか、都会には「休みは一人で部屋にいるので、かえって人に会う機会が減る」という人たちが大勢いるのだ。考えてみれば、私もこれまではそうだった。大学の授業が休みの季節は、一人で図書館で調べものをするなどして過ごした。「今日は誰とも会話しなかったな」という日も珍しくなかった。

 それに比べると、こちらではお盆の親戚のあいさつ回り、子どもや孫が全員集合して宴会、元の同級生が集まってバーベキュー大会など、人と人との交流がずいぶん盛んな印象だ。もちろん、準備をしなければならない女性たちは大変だし、「一人でいた方が気楽だな」と思う若者もいるだろう。とはいえ、「人と人との結び付き」が続いているのはやっぱり何にも代えがたい財産だともいえる。

 コロナに感染するのは避けたい。でも、「人に会うのは良くないこと」というのは違う。検査に来て、「仲良くしている家族同士でキャンプに行ったんです」と申し訳なさそうな顔で言う人に、心の中で声を掛ける。

 「それは楽しかったでしょうね。コロナになったのは残念ですが、その思い出は宝物ですよ。回復したらまたゆっくり思い出してください。そして、来年こそはコロナを心配せずに出掛けられるといいですね」

 私も来年の夏は、穂別で知り合った人たちとハイキングにでも行けたらな、と楽しみにしている。

 (むかわ町国民健康保険穂別診療所副所長)

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