3年ぶり「夏休み子どもスペシャル」開催 環境省と獣医の仕事体験 

  • 救護室のカルテ, 特集
  • 2022年8月19日
思いの詰まったケージを作っていただきました

  7月28日、ウトナイ湖野生鳥獣保護センターは、おかげさまで開設20周年を迎えることができました。その記念事業イベントとして、救護セミナーを皮切りに、ポンポンやアイロンビーズなどの工作体験、バックヤードツアー、特別展示などを実施し、多くの方々に来場いただき、心より感謝申し上げます。

   このイベント期間中には、実に3年ぶりとなる「夏休み子どもスペシャル~野生動物を守る! 環境省と獣医さんのお仕事体験」も開催することができました。これは、野生動物や自然環境を守るために取り組んでいる当センターの活動について学んでもらうイベントで、10年ほど前から夏休みの恒例行事として行ってきました。しかし、新型コロナ感染症拡大のため、昨年と一昨年は開催を断念。それでも、イベント再開を希望される声も多く頂き、感染症対策に十分に努め、このたび無事に実施することができました。

   イベントには市内外から10人の小学生に参加いただきました。前半は、環境省北海道地方環境事務所のレンジャー(自然保護官)による、野生動物や自然環境保全の意義やその手法などのレクチャーと、生態系を支える昆虫たちを守る活動として、昆虫の安全基地となる「ハチのホテル」の製作体験を行いました。

   後半では、野生動物救護についてレクチャーをした後、実際に救護現場を歩き、傷病鳥たちを間近に感じながら、おのおのの傷病鳥がどのような経緯で当センターに運び込まれ、手当てが施され、そして今日に至るのかをお話しました。真剣に耳を傾け、真っすぐに傷病鳥たちを見詰める子どもたちの表情からは、野生動物たちが置かれる現状を知識としてだけではなく、心から理解をしてくれた様子をうかがうことができました。また、傷病鳥の簡易ケージも製作してもらい、一人ひとりの思いが詰まった10個のケージが完成しました。

   イベント終了後、子どもたちに記入してもらったアンケートを見ると「将来の夢」の欄に、多くの子どもたちが自然や動物に関わる仕事がしたいと書かれていました。私が獣医師を志し始めたのも、ちょうどこの年頃でした。当センターがこれからも、そんな子どもたちの夢の支えやヒントになるような場所であり続けたいと、心から思います。

  (ウトナイ湖野生鳥獣保護センター・山田智子獣医師)

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