三度の飯より「書くこと」が好きなハルキ。得意な教科は国語のみだが、文芸部の部長として周囲の信頼も厚く、中学校生活を楽しく過ごしていた。中学2年の冬休み、新しい年の新しい一日に、何か新しいことを始めたいと思い、1年間日記を書くことにした。
そんな2月のある日、インターネットで調べものをしている最中、「15歳を中心にして、詩で遊び詩でつながる自由な広場=いちごっこ」というサイトに出合う。ハルキは、このサイトにかすみ草というペンネームで詩を投稿し始め、高評価を得る。
ところが、投稿を繰り返すうちに、あるコメントから誹謗(ひぼう)中傷を浴びせられる。心が深く傷つき、学校へ行けなくなったハルキを救ったのは、憧れの作家からの数々の言葉。「文学の力」を再認識できる爽やかな青春小説である。
(あすなろ書房 1540円)
苫小牧清水小学校
井村友美