真夏のリンク管理、感染対策を両立

  • 氷都のいま、ここから, 特集
  • 2022年7月22日
今年も決勝の舞台となる白鳥王子アイスアリーナ
今年も決勝の舞台となる白鳥王子アイスアリーナ
ダイナックス沼ノ端アイスアリーナの控室には大型扇風機と空気清浄機が設置されている
ダイナックス沼ノ端アイスアリーナの控室には大型扇風機と空気清浄機が設置されている

  「氷上の甲子園」と呼ばれる第17回全国高校選抜アイスホッケー大会が8月2日に苫小牧市で開幕する。昨年の大会では、新型コロナウイルスの大規模クラスター(感染者集団)が発生、150人もの陽性者を出す結果となった。国立感染症研究所からは感染拡大の主な要因の一つとして「リンク施設内の換気不足」が指摘されたが、リンクにとって外気は氷の状態を大きく左右する。感染対策とリンク管理の両立について、大会で使用される市内のアリーナ3カ所に聞いた。

   白鳥王子アイスアリーナ=若草町=では氷のコンディション維持のため、冬季よりもリンク自体の冷却を早めて対策している。冬季は入れていないアリーナ内の空調も、現在は0度に設定。自動車のエアコンのように、外気と内気を切り替えながら温度を管理している。

   前回クラスター現場となった同アリーナ。今大会も決勝戦などが行われる予定で、施設管理係の武川諭係長は「施設側が設備投資して対策するのはもちろんのこと、選手ら関係者がウイルスを持ち込まないことも大切。互いに協力し合って大会に臨みたい」と話した。

   ダイナックス沼ノ端アイスアリーナ=北栄町=では現在、およそ1時間半ごとに行われるリンクの整備時に、非常口2カ所を5分ほど開放している。施設管理係を務める村田文哉さんは「外気温が高いとリンクが影響を受けやすい」といい、リンクを冷やす装置の設定温度を冬場よりも下げて対応しているという。

   新型コロナウイルスのエアロゾル感染防止のため、利用者が集まる控室の扉は開放し、送風機や酸素濃度測定器、空気清浄機を設置して対策を講じている。村田さんは「また感染者数が増加傾向にあり不安はあるが、選手たちに良い状態のリンクを提供したい」とした。

   新ときわスケートセンター=ときわ町=はピリオドが終了するごとにドアを開け、リンク内に滞留した選手の呼気を大型扇風機などで屋外に排出している。梅川勝己副館長は「外気温が高いときは、換気をするとリンク内が結露してしまう」と話す。アリーナに除湿器が設置されているものの、湿気により施設内の断熱材が浮いたり、フェンスに設置している強化ガラスが白く曇ったりしてしまうという。

   苫小牧市から換気の強化を指示され、試行錯誤しながら対策を講じている。「5月末には煙を呼気に見立てて、実験も行った」といい、7月末まで策を練り続ける。

過去30日間の紙面が閲覧可能です。