わが家の小さな環境グループ ごみ拾い活動3年目

  • 救護室のカルテ, 特集
  • 2022年7月15日
ごみ拾いの輪が広まることを願う「地球お守りチーム」

  2020年に発足したわが家の小さな環境グループ「地球お守りチーム」も早いもので3年目を迎え、海岸を中心に毎月、ごみ拾いをしています。当初は家族だけで活動することが多かったのですが、ありがたいことに、一緒に活動したいという友人たちも声を掛けてくれるようになり、今では数家族で活動する機会も増えました。

   海岸には相変わらずの多くのごみがあります。たばこの吸い殻や生活ごみに漂着ごみ、わずかな時間でも手持ちのごみ袋がいっぱいになります。明らかに大人が捨てたであろうごみを、子どもたちがせっせと拾う姿には本当に心が痛みます。それでも、誰が捨てたのかうっかり落としてしまったのか、気にする様子もなく子どもたちはいつも無邪気に活動しています。

   いつの日だったでしょうか。ごみ拾い中に、娘がうれしそう駆け寄ってきました。

   「ルアー、ゲット!」

   手に持ったトングの先には、針が付いたままのルアーがありました。

   常日ごろ子どもたちには、ごみ拾いの際は、釣り針や釣り糸、とがったプラスチックやガラスの破片など、そこに暮らす生きものたちがけがをしてしまいそうな物にも注意を払うようにと声を掛けています。そして、拾った分だけ、生きものたちが傷つくのを防ぐことにつながるとも伝えています。そのためもあってか、子どもたちはそのようなごみを拾えると、自分たちの手で生きものの事故を防ぐことができた達成感からか、うれしそうでどこか得意げで、見ているこちらも心が温かくなります。

   今、私たちの身近な環境のみならず、世界中がごみであふれかえっています。目に見えるものもあれば、マイクロプラスチックのように見えないものもあります。海という環境一つ取っても、海岸に流れ着くごみ、海の表面や海中を漂うごみ、海底に沈むごみと、あらゆる空間に存在する私たちの負の産物。ぜひ、皆さまも自分事として考えていただけたらと思います。

   数十年後には、海に暮らす生物よりも、海のプラスチックごみの方が多くなると警鐘を鳴らされている今、未来を担う子どもたちに少しでも良い環境でバトンタッチできるように、行動する一歩を一緒に踏みだせたら幸いです。まずは目の前に落ちているごみを、拾うところから始めてみませんか。

  (ウトナイ湖野生鳥獣保護センター・山田智子獣医師)

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