ウポポイ開業2年 来場者52万人 年間100万人達成へ誘客促進に力 白老

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  • 2022年7月12日
アイヌ文化を発信するウポポイ。開業から2年で52万人超が来場した

  アイヌ文化の復興と発展のナショナルセンターとして国が白老町に整備した民族共生象徴空間(ウポポイ)は、12日で開業2年を迎えた。2020年のオープン当初から新型コロナウイルス流行に翻弄(ほんろう)され、入場制限や一時休業を強いられたものの、2年間の総来場者数は52万人超の実績を上げた。一方、政府が年間100万人の目標を掲げる中、その達成が課題。プログラムの魅力を高めるなど誘客促進にいっそう力を入れる考えだ。

   ウポポイは新型コロナの影響で、当初予定より2カ月半遅れて20年7月12日にオープンした。管理運営するアイヌ民族文化財団(札幌市)によると、開業以降の入場者数は今月11日までに52万7788人。コロナ対策で1日の受け入れ人数を抑えたのに加え、感染拡大に伴う一時休業措置や観光需要の冷え込み、インバウンド(訪日外国人旅行者)入国規制のあおりを受け、政府目標と懸け離れた状況が続いた。

   それでも行動制限が緩和された今年のゴールデンウイークには多くの人々が来場。期間中の5月4日は、1日当たり過去最多の3271人を記録した。同財団の齊藤基也・民族共生象徴空間運営本部長は「コロナの影響で来場者は伸び悩んだものの、今年度に入ってからは順調」とし、「この2年間、アイヌ文化の発信や普及啓発というウポポイの使命を一定程度果たせた」と受け止める。

   一方、引き続きコロナ禍という厳しい環境下にありながらも、政府は年間100万人という目標を下ろしておらず、その達成に力を入れる考えだ。政府のアイヌ政策推進本部長を務める松野博一官房長官は5月8日、ウポポイを視察した際、「感染症対策を講じながら、掲げた目標人数に近づけるようコンテンツの充実、誘客促進の広報活動など今できることを一つ一つしっかり進めたい」と述べた。

   国は6月に外国人観光客団体ツアーの受け入れを始め、新千歳空港の国際線も近く再開される。こうした動きに同財団も期待を高めており、インバウンドをはじめ、さまざまな来場者に対応した受け入れ体制の整備に取り組むとしている。齊藤本部長は「ウポポイがアイヌ文化振興の扇の要となり、ネットワーク拠点としての機能を発揮できるようさらに注力していきたい」と話し、16~18日に2周年特別イベントも企画しているという。

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