「主権者としての意識が大事」。参院選の投票率アップに向けた啓発活動を展開する、苫小牧市選挙管理委員会の岡部吉則委員(65)はそう強調する。「自分ごととして、国やまちのこと、今や将来のこと、自分の子どもたちのことを含め考えてほしい」と訴える。
「主権者として社会に向き合う方法は、立候補と投票の二つ」とした上で「ほとんどの方は投票で自分の考えを意思表示する。これを放棄しては民主主義はない」ときっぱり。意見を国政に反映させるため、代表者を選ぶ意義を説く。
勇払幼稚園の園長で、2020年12月から選管委員を務める。近年の各級選挙での投票率低下、とりわけ若年層の関心の薄さを懸念し「一朝一夕に投票率を上げるのは難しい」と指摘。「学校教育の問題、心理的な抵抗感、住民票の問題があると思う」と分析する。
「子どもに選挙の仕組みやルールは教えるが、そこでストップしていることが一番の課題」とみており、例えば子どもたちが自ら校則を考え直す機会を生かし「自分の学校生活をどういうふうにするのか、問題意識を持って行動するための教育ができる」と提起する。
先日の苫小牧市長選は過去最低の投票率に終わったが、見て回った投票所で家族連れの姿があったことに救いを感じた。「小さな頃から選挙の現場を見たり、選挙権を初めて得た時に親が『一緒に行くぞ』と声を掛けたり。票と同じで、一つ一つ積み重ね」と話す。
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