「北欧諸国では少子化を克服して人口が増えているが、日本はいまだ解決の糸口すら見つけられていない。国の存続にも関わる問題なのに、あまりにも国民の関心が薄い」。妊娠期から育児期まで包括的な子育て支援の実現を目指す団体「苫小牧ネウボラ」の五嶋耀祥代表(42)は危機感をあらわにする。
女性活躍が叫ばれる一方で、子育てや家事は女性が担うべきという旧態依然の価値観も根強く残る日本社会。国は男性の育児休業取得を促進するが、長時間労働や育児しながら働く人がキャリアアップに限界を感じるいわゆる「ガラスの天井」は無くならない。「女性の活躍は耳に心地よいが一人歩きしているのにすぎず、少子化対策にはつながっていない」と語る。
加えて、子育て世代の社会に対する無関心も少子化に大きく関わっていると感じている。収入面や仕事と育児の両立の負担感からたくさんの子どもをもうけることを諦める人は少なくなく、地域から小児科や産婦人科が無くなるなどした場合も、「こんなものか」と受け入れてきたことが今に至ったと考えている。
「みんな生活に精いっぱいで今の状況が当たり前と思い込み、理想を描いたり、実現しようとする力を失っている」と指摘。「今行動しなければ何も変わらない。目先の事だけではなく、自分にとって何が幸福かを意識しながら40年後の未来を思い描き、願いを託す候補者を選んでほしい」と力を込める。