白老町東部の海岸一帯に広がるヨコスト湿原の入り口は、国道36号沿いにあり、クリ材の看板が目印になっている。縦42センチ、横130センチ、高さ160センチで土台部分はカラマツ材で作っている。
2017年6月、湿原保全を目指す「ヨコスト湿原友の会」が設置した。看板作りを担ったのは町内の彫刻家相吉正亮さん(82)で、文字も彼の手によるもの。丸みを帯びた温かい書き文字で、一帯の自然を愛する人柄がにじみ出ている。
湿原のそばに立つ看板の文字も手掛けた。「希少動植物を大切にしましょう」との文面だけ見れば、何か説教くさく感じるけれど、相吉さんの書き文字を見詰めていると「この一帯に咲く花や虫、鳥をそっと見守ろう」という気持ちになる。
湿原には絶滅危惧種を含め多様な動植物が息づき、16年4月に環境省の「日本の重要湿地」に選定された。さりげなく立つ看板にも郷土の大切な自然環境に向ける、相吉さんら町民の優しいまなざしを感じる。(半)